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住まいとデザインのはなし 2002-2016

052 耐力壁

052 耐力壁_e0025025_15415136.jpg写真は「桜町の家」の上棟日に撮影したものです。

丈夫で安全な住まいをつくるためには「耐力壁」と呼ばれる地震や風などの外力に耐えるための壁を設けていくことが必要になります。一般的に知られているのは「筋交い(すじかい)」と呼ばれる柱と梁の間に設けられた斜めの部材ですが、私たちは写真のような構造用合板を使用して面で固める方法をとっています。


一般的に住まいに働く外力は、地震よりも風(台風など)に対する力の方が大きいため、計算上も風に対する強度(強さ)を求めることになります。さて前述の耐力壁についてですが、私たちが構造用合板を使用する理由は、同じ箇所数であれば構造用合板の方が筋交いより強度がある点にあります。(このことは外壁に設けることができる窓の面積が増えることにもつながります。)それにも増して重要視しているのは継続的な強度の確保についてです。乱暴に言うと、筋交いにより強度は接合部がしっかりと施工されているかという点に集約されます。つまり上下2点に力が集中するのです。これに対し構造用合板は柱と梁に一定間隔で釘を打っていく(しかも数が多い)ので1点にかかる力は分散し、極端な耐力の低下(経年変化などによる木材と釘などの接合状況の悪化)を避けることが可能です。さらに筋交いは筋交いとして用いられる木材の強度に依存する部分も多く、それに節がある場合などは必要な強度は見込めません。この点でも工業製品化されている合板の方に利があります。

自然素材の住まいづくりを考える上では構造用合板の使用も可能な限り避けたいものではあります。それは構造用合板を作るのに資源エネルギーが使用される点と湿気に弱い点にあります。杉などの間伐材をパネル化した代用品(Jパネルなど)もありますが、高価なのであまり使用する機会がありません。(「東山台の家」では一部使用しました。)全てにおいて納得の住まいづくりへの道は、まだまだ遠いようです。(A)
by miz-arch | 2005-09-26 09:31 | 現場のはなし