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住まいとデザインのはなし 2002-2016

057 住まいの中の高さ

057 住まいの中の高さ_e0025025_1110921.jpg写真は「桜町の家」のキッチンで、住まい手のご要望で採用したイタリアのメーカーのものです。
私たちはキッチンの高さを決めるにあたり、通常はシンク側とコンロ側で高さを変えています。これは鍋を覗いたりフライパンを振ったりという動作の必要なコンロ側を低く設定した方が、使い易いからです。

建築家の吉村順三さんが「階高は低ければ低い方がいい。」という考えのもと、設計を進められていたということをお弟子さんの建築家から聞きました。なるほど、階高が低ければ、1階と2階は孤立した空間になりませんし、2階へ上がるのもおっくうではありません。
私たちの設計する住まいも階高は低い方です。殆どの部分に天井を設けない「構造材をあらわしにしたつくり」ですから、その分だけ階高を低くすることが可能となるのです。最近は長身の方が増えてきたので住まいも大きくなる傾向にありますが、私たちは「小さくても(低くても)圧迫感のない快適な住まい」となるようにいつも心掛けています。

住まいを設計する際にはキッチンの高さはもちろんのこと、扉や扉の取手の高さ、棚の高さ、机の高さ、照明器具の高さやコンセントの高さなどありとあらゆるものの高さを決めなければいけません。「標準的な高さ」は決めていますが、住まい手の身長などによって微調整していきます。それ故にまず最初に住まい手にお聞きするのが身長なのです。しかしこれも設計当初のことですから、将来的に高齢になった場合の事を加味して最終的な高さを決定しています。ちなみに私の住まいでは身長180㎝の私に合わせるより、157㎝の奥さんに合わせて造っている部分が多いです。これは力関係ではなく、家事をする頻度によって優先順位をつけているからです。念のため。(A)
by miz-arch | 2005-10-03 10:09 | 設計のはなし