住まいとデザインのはなし 2002-2016

109 土間の仕上げ

e0025025_19163817.jpg写真は土間の施工風景で、色モルタルの掻き落とし作業を行なっているところです。
「掻き落とし仕上げ」は本来は外壁などの壁面の施工をする際に用いる手法ですが、ご覧の通り、私たちは玄関土間の仕上げ手法としてよく利用しています。

※正確に表記すると、使用材料は「色モルタル」ではありません。

1950年頃までは日本の住まいの玄関といえば「三和土(たたき)」仕上げが主流でした。土と石灰に苦汁などの三種類の主材料を混ぜ合わせ、叩き固めて仕上げていたことから「三和土」と書いて「たたき」と呼ぶそうです。古い民家を訪ねれば、必ずといってよいほど玄関土間に使用されていますから、見たことがある方も多いでしょう。しかし、建築材料としてセメントが用いられるようになってからは、容易で短期間に仕上ることができるセメントを用いた仕上げ(洗い出し、タイル貼り、コンクリート金コテ押さえなど)に取って代わられるようになりました。三和土仕上げのメリットは調湿作用や踏み心地の柔らかさなどですが、時間の経過とともにくぼみができたり、ひび割れてきたりのデメリット(これをデメリットと考えるかどうかは別として)もあります。

日本に馴染みのある三和土を現代の工法の中でできればと思い使用しているのが前段の「掻き落とし」仕上げですが、こちらはうちの奥さんが大阪で勤めていた事務所にいた頃から馴染みのある仕上手法でした。北陸に転居してからは冬期の凍結によるひび割れ等を考慮し、使用材料等を検討した結果、現在の方法にたどり着いたのですが、ご覧の通り光の入り方によって見え方も変わり美しい仕上がりとなっています。玄関先に持ち込んだ土などが目立ちにくく玄関先を常にきれいに保てるのがメリットですが、踏み固める回数が多い場所ほど先端がつぶれてしまうデメリットもあります。もっとも私たちはこれを「風合い」として捉えていますので、あまり気にしていませんが。

作業行程は写真左手のように一旦平滑に塗り込んだ後、適度に硬化した頃合(これぞ職人の経験)を見計らって、剣山やコテで表面を削り落としていきます。いかにも手間隙のかかる作業ですが、これも経験のある職人さんあってのこと。この作業をして下さった職人さんも今年で引退されるとか。是非とも次世代にも引き継いで欲しい技の一つです。(A)
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by miz-arch | 2007-06-27 16:14 | 住まいのはなし