住まいとデザインのはなし 2002-2016

032 ホンダ・シビック

e0025025_21103099.jpg写真は1973年~1979年まで発売されていたホンダ・シビックです。この当時の国産車は外国車を模倣し、その中に独自の技術を盛り込んでいた時代でした。シビックもフォルクスワーゲン・ゴルフを模倣し、ハッチバックスタイルの中に独自の燃費技術(CVCCエンジン)とATミッション(ホンダマチック)を加え、低価格路線の販売で顧客を獲得していたと記憶しています。

私が免許を取って初めて運転した車がホンダのシビックでした。どういう訳か私の家には同じ型のシビックが2台あり(父と母と男女同権ということなのか?)、それぞれMTとATのミッションでした。そこで最初は運転感覚を養うのにAT車中心に乗り、慣れてきた頃からMT車を中心に運転するようになりました。車がコンパクトにまとめられていたので運転し易かったこともありますが、お陰で運転の上達は早かったように思います。そういう意味で私の自動車人生の始点でもあった、思い出深い車の一台です。

かつてのシビックは機能とかたちの整合性がとれていました。それはひとえに世界的成功を収めたゴルフのパッケージングを模倣し、独自の技術を盛り込むことにのみ精力を傾けていたからに他ありません。いわば余計なデザインが施されていなかったことが成功の理由だったと言えるかもしれません。ところが、1980年代にF1グランプリに参戦してからは「ホンダ=スポーツ」のイメージ戦略の元にモデルチェンジが進められ、一部の若者以外には受け入れられない車となり、ついには美しくないかたちを身に付けてしまいました。現在は世の中のニーズがミニバン中心へと変化したことも相まって、販売台数も芳しくないものとなっています。

「本質のないもの」にいくら上辺だけのデザインを施しても、一時的な影響力しか与えることができないため、普遍的な作品になることはありません。住まいは住まい手が生活するための器ですから、決して設計者の作品ではありません。しかし私たちは「本質のあるもの」としての住まいが提供できた際には、胸をはって「作品」と呼ばせて頂くことにしています。(A)
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by miz-arch | 2005-08-25 21:44 | 車のはなし