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住まいとデザインのはなし 2002-2016

034 天然乾燥

034 天然乾燥_e0025025_9554120.jpg写真は「下大久保の家」で、一昨年の竣工直後に撮影したものです。床の厚板(30mmあります)も薄い桜色でとてもきれいです。これが年月をかけて飴色に変わり、住まいに味と落ち着きをもたらしてくれるでしょう。

柱・梁・床板:TSウッドハウス協同組合
テーブル:kino workshop

私たちの設計する住まいは現在のところ木造が主体となっていますが、中でも徳島産の木頭杉を使用することが多くなっています。木頭杉はTSウッドハウス協同組合が手塩にかけて育てた杉で、天然乾燥によって住まい手の元に届けられます。木材は施工後の強度や狂いなどを安定させるために乾燥したもので施工しなくてはいけません。最近では人工乾燥(機械的に木材の含水率を落とす方法)が主流となっていますが、TSウッドハウスでは徳島の気候を活かし、天然乾燥で木材を製品化しています。木を伐採してから約半年の間ゆっくりと木に含まれる水分の割合(含水率)を落とした杉は、杉のもっている油分が抜けることが無いので艶やかな表情の材となります。また、製品後の狂いも少なく安心して使用することができます。(多少の狂いは避けられないので、住まい手には「白い家」を見て頂き、事前に確認して頂いています。)

TSウッドハウスさんとのお付き合いはかれこれ10年となりますが、杉の生育から伐採までの年月を考えると1/6~1/8にすぎません。大事に育てられた木を使わせて頂くからこそ、丈夫で長持ちする住まいをつくらないといけないと肝に銘じて日々励んでいます。(A)
by miz-arch | 2005-08-29 10:19 | 木のはなし