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住まいとデザインのはなし 2002-2016

105 テレビの大きさ

105 テレビの大きさ_e0025025_14443086.jpg皆さん、ご存知の液晶テレビ“AQUOS(アクオス)”(SHARP製)です。(※写真は37inch製品)
ソファーのデザインでも知られる喜多俊之さんのデザインで、このAQUOSが「インテリアにおけるテレビデザイン」という面で他社に与える影響は大きかったように思います。


私が美しく感じているのはパネル周りのデザイン処理もさることながら、重量物である画面を支えている脚元にあります。先頃、我が家の近くでも大きな地震がありましたが、「どうあっても前には倒れないぞ!」という力量感を有機的な曲線で柔らかく処理しているあたりが、美しさを感じる所以です。プラズマや液晶などの大型パネルの採用により、テレビの大型化が進む中、なんとなく倒れそう・・・と不安を覚えるようなデザインのものもあります。また転倒防止のために補助金具を付けるようになっているものさえあります。これにいたっては、本末転倒としか言いようがありません。建築物の耐震性能を重視することに光が当たっている今こそ、各社がテレビの耐震性能を表示したら面白いのにとさえ思います。

住まいを新しくすると、住まい手の皆さんはかなりの確率でテレビを新調されます。勿論、地上デジタル放送へ転換する過渡期にあることもありますが、ホームシアターの要望や大型パネルの価格が下がってきたことなども理由でしょう。
それでは、どのくらいの大きさが最適なのでしょうか。メーカー基準によると、画面高さのおよそ3倍程度の長さが視聴距離(テレビまでの距離)とされています。例えば32inchなら高さは約40cmですから視聴距離はおよそ1.2mとなります。もっとも、これは画面の粗さが目立たないための最小距離でもあるようですから空間に適しているかどうかとは別のように思います。個人的には大きな画面を近くで見ると、映画館の最前列で干渉するように目が疲れますし、画面全体を見渡せないので、情報量が減ってしまうと考えています。そこで私なりの目安は画面高さの6~8倍(大画面が好みの方は6倍、テレビを生活の主して考えない方は8倍程度)としています。(つまりテレビの視聴距離を6~8で割れば適切なサイズが何インチかわかります。)

私たちがお会いした住まい手の中には、今でもテレビは生活の主要なものとして位置づけていない方が多数いらっしゃいます。その考え方は共通していて、「気に入った空間でテレビを楽しむ生活をする」のではなく、「テレビは生活の一部に過ぎない」ことをよく理解され、住まいの内外を問わず積極的に生活を楽しんでおられます。またテレビを点けっ放しというようなことは決してありません。こういった住まい方の方が文化的でより充実しているように思ます。これは未だに4:3のブラウン管テレビで過ごしている者のやっかみかもしれませんが。。。(A)
by miz-arch | 2007-03-27 16:43 | 電気のはなし