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住まいとデザインのはなし 2002-2016

108 窓の大きさ

108 窓の大きさ_e0025025_19131460.jpgこちらは昨年竣工し、間もなく1年を迎える「上轡田の家」です。
この写真で見える方角は南面で、左手の小さな窓と右手の大きな木製サッシ(上部はアルミ製のはめ殺し窓)が対比的な立面を構成しています。
平屋に見えるかもしれませんが実際は2階建てで、北面に子供室などの個室を配置し、全体のシルエットをシンプルに見せています。

窓のかたちをどうするか考えるときに以前(私たちが関西から転居して間もない頃)、私たちの住まいを見た友人から「何でカーテンウォール(全面ガラス)じゃないの?」と不思議そうに訪ねられたことを思い出します。(ガラスの)カーテンウォールにすれば室内は明るく、外観も今風でカッコいい。そんな思いが込められていたのだと思いますが、私たちの回答はいたって簡単。「開口部を大きくとることのメリットを感じないから。」でした。窓が大きくなったら熱負荷も増え、夏の暑さや冬の寒さに悩まされることは明白です。また構造上必要な耐力壁の確保も難しくなり、また壁面の収納量も減ってしまいます。そして何より窓掃除が大変・・・。

またある住まい手から「全ての窓が普通に窓掃除ができるように。」と依頼されたことも思い出します。私たちの設計する住まいは基本的には窓掃除まで考慮して設計していますが、場合によっては脚立を必要とする場所もあります。それでもそれほど苦労しなくても窓掃除ができるように考えています。ですから、大きな「はめ殺しの窓」の住まいは殆どありません。それでも見栄え優先でと望まれる方には断りを入れた上で、大きな窓をとることもあります。それでも前段のカーテンウォールになることはありませんが。

さて「上轡田の家」ですが、こちらの住まい手は大きな開口を望まれました。結果、大きな木製サッシと上部に小さなはめ殺し窓の構成になった訳ですが、外観上はそれほど窓があるように見えないかと思います。それでも室内は暗くありませんし、必要十分かと思います。ちなみに冒頭左手の小さな窓は寝室なので、こちらもこれで十分でしょう。

窓の大きさやかたちは住まいを印象付けるアイテムであると同時に、室内環境に影響する最大因子でもあります。これらをどうバランスし、きれいに整えるか。。。私たちの腕次第といったところでしょうか。でも本音を言えば「かっこ良く(見栄えを優先)して下さい。」「はい、喜んで!」なのです。(A)
by miz-arch | 2007-06-05 15:10 | 設計のはなし